1を0にする

 5月1日(月)の特別講義「みらいのデザイン」の特別講師は西村拓紀デザイン株式会社(西村拓紀デザイン株式会社)の西村拓紀さんだった。

 西村さんはパナソニックで8年間ほどデザイナーをされていて、そこから個人の事務所を立ち上げたそうだ。元はプロダクト系のデザイナーなのだそうだが、個人での仕事ではデザインのすべてに関わるために、ロゴデザインであったり様々な分野のデザインを行なっていると言う。実際に西村さんのHPを見てみるとわかるのだが、プロダクト系のデザイン以外にも多くのデザインをされている。

 そのような西村さんの講義は、自分の思ってもいないフレーズから開始した。

“1を0にする”

 「0から1をつくる」とか、「1を10にする」といったようなフレーズはよく耳にする。しかし、“1を0にする”ということは一体どう言うことなのか…。

 それはクライアントからの要望を“1”とした時に、その要望を分解してより本質的な点を見つけその点をスタート位置、すなわち“0”としてデザインを進めていくということらしい。どうしても表面的なものになってしまいがちな要望の本質的な部分を見つけ出すことで新たなコンセプトが出来上がる。

 講義内で紹介していただいたデザインすべてにこの“1を0にする”というコンセプトの手法が用いられているようだった。

 

 

 

 

 この西村さんの講義を聞いて、以前他のデザイナーさんがおっしゃっていたことを思い出した。それは、

“なぜ?を繰り返す”

“その概念の上位の概念にひたすらのぼっていく”

ということだ。どちらも西村さんの“1を0にする”という考え方と同じことを意味していると感じた。例えば調理器具をデザインするとして、

 

なぜ調理器具を使って料理するのか

使って料理すると楽しいから

なぜ楽しいのか

 

というように、なぜ?を繰り返すことでデザインするべきもの、考えなければいけないものが明確になるということを教えていただいた。

前々回の講義では「一歩引いて考える」ことの重要性を学んだのだが、今回の講義でのこの考え方は逆にモノゴトの一点、中心に深く注意を向けることの大切さを学んだのだと思う。これはどちらの考えが正しいという話ではなく、両方の考え方を持っておくことが大切なのだと考える。