エスノグラフィー

 5月22日(月)、特別講義の講師は伊賀聡一郎さん。以前はRICOHの研究所に努めていて、現在はパロアルト研究所(parc:PARC, a Xerox company)の日本支部の代表をされている。伊賀さんはRICOHで企画段階から製品を出すまで全てに関わっている中で、新しいモノを生みだすためにエスノグラフィー”をビジネスに応用していたと聞いた。

 このエスノグラフィー”というものは元々は文化人類学社会学の用語で、集団や社会の行動などを調査し、記録することを指す。“ethnography”という単語は“ethno”という“民族”を意味する単語と、“graphy”という“記述”を意味する単語が合わさった言葉であり、デザインやマーケティングを行ううえで欠かせない手法となっている。

 エスノグラフィー”は写真や文字、イラストなどを用いてその場やシーンの状況等をデータとして残し、他人に伝わるようになっていないといけない。また、対象の人物がどう感じてどう考えているのかなどをその人物の視点で理解しないといけないが、自分というバイアス(偏見)がどうしてもかかってしまったり、自分との考え方の違いによってどうしても理解できないことなど、非常に難しい部分がある。

 

 

 

 

 エスノグラフィー”は今後の社会というか、将来を考えていくうえでは、やはり欠かせないものだと感じた。技術が進歩していくということは、ライフスタイルや仕事環境など身の回りが大きく変化していくことになる。そうなると、今までは十分であった製品やサービスが時代に合わなくなり、必要な価値を生み出せなくなってしまうことが起きてくると思われる。

 そのような細かな変化に対応して、ニーズに応じた製品やサービスを提供していくためにエスノグラフィー”を用いて調査することが必要なのではないかと感じた。

 

 人間工学を中心に学んでいて、ユニバーサルデザインバリアフリーデザインなどを多く注視する自分としては、このエスノグラフィー”を積極的に取り入れていきたいと感じた。それは、高齢者や障がい者をメインユーザーとする製品などを考えるうえで、どうしても自分の頭の中だけではその人たちが問題と感じている部分などを明確にできなかったり、間違った見解に至ってしまうことがあり得る。そのようなことをできる限る減らし、本当に必要な要素を抽出するためにもエスノグラフィー”は有効だと感じた。